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2018年12月14日

デザインガイドラインの楽しみ方

はじめに

企業のデザインガイドラインではCI(コーポレートアイデンティティ)の扱い方に限定したものが多いのですが、デザインに力を入れている企業ではブランドガイドラインを公開したりしています。そのブランドやデザインの思想や経緯を事例も含めて細かく説明しており、それだけでも魅了する要素が豊富でブランディングの勉強になりますし、異なる視点からブランドを楽しむことができます。今回は最近目にしたデザインガイドラインをピックアップしてみました。

起死回生のブランディング。

少し前ですが、Uberのブランドサイトが公開されました。Uberは自動車配車の先駆けでシェアリングエコノミーの新しい価値を生み出し米国では欠かせないサービスの一つとなっていますが、昨年は社内のセクハラやCEOの暴言など不祥事が相次ぎ、批判の声も上がっていました。

そんな中、Uberはリブランディングを実施し、新生Uberを印象付ける試みに挑んでいます。Uberのリブランディングサイト「Rebrand 2018」では今までのCIの問題点と新たなCI、構成、タイポグラフィ、カラー、写真などひとつひとつ丁寧に説明がされています。このガイドラインを見るだけでもリブランディングのプロジェクトにはかなりの予算を掛けていると感じられます。

個人的に注目したいのが、Uberの「U」の文字を枠として用いた「U-Frame」という広告等で用いられる構成です。シンプルにグリッドを用いた柔軟なシステムは様々な形に合わすことができ、「太いU字枠」=「Uber」という認識を広げることができる強力なデザインシステムと言えます。
また写真の扱い方はLouis VuittonやCHANELなどのファッションブランドのようにも見え、配車では収まらないライフスタイルの提案を印象づけており、Uberがブランドの刷新にかける本気を感じることができます。
https://www.uber.design/

うまくいかないケースもあります。

企業が次のステップに進む際に新たにリブランディングやCIのリニューアルを実施する場合があります。これは非常に難しいプロジェクトとなります。なぜならば固定客は変化を嫌う傾向があり、新たな提案を受け入れないこともあります。
有名な例ではGAPのロゴリニューアルが挙げられます。2010年、GAPのロゴリニューアルを発表しましたが、批判が相次ぎ1週間で元のロゴに戻す騒ぎとなりました。印象が大きく変わると「コレジャナイ感」が強まります。
最近ではDropboxのブランディングも同様に大きな違和感が生じました。

Dropboxのブランドサイトを見てみるとDropboxと言われないとわからないほど異なるイメージを与えています。新たなブランディングはクセが強く、サイケデリックな印象でチャレンジングな試みと言えます。ただ個人的にはシンプルで、かわいいイラストが添えられているDropboxのイメージからあまりにもかけ離れており、この先どうなるのだろうと不安を覚えたことを記憶しています。
実際にDropboxでは新たなデザイントーンで料金表を刷新したところ、契約申込数が大幅に減少しました。慌ててデザインを元に戻すと契約申込数も回復し、明らかにブランディングが悪影響を及ぼしてしまった例と言えます。
そんなこともあってなのかDropboxの新デザインはDropboxのデザインサイト内に留まっており、これからの展開を見守りたいところです。
https://dropbox.design/
https://www.youtube.com/watch?v=sUzSk5JE0d0

マイナーチェンジでスマートに。

ブランディングする際にCIに手を加えることがありますが、CIをトレンドに合わせてマイナーチェンジすることが多々あります。従来のCIに慣れているユーザーに戸惑いを与えることなく、築き上げてきたブランドを継承し、更に洗練された印象を与えることができます。

https://brand.netflix.com/en/
映像ストリーミング配信サービス「NETFLIX」の場合、従来シャドウ付きのCIでしたが、単色系でフラットなトーンへ変更しトレンドに寄せて来ています。合わせて「N」の文字を用いたCIを作成、絶妙なグラデーションを用い印象深くまとめています。

https://design.mercari.com/
フリマアプリサービス「メルカリ」の新しいロゴは、デザイン要素を少なくし洗練されたロゴとなりました。配色も色合いもほぼ変更がないため、アプリのアイコンが変更されても気にならない程度の印象と思われます。

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