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2018年10月5日

車載カーナビとスマホカーナビ、CarPlayの今

カーナビと言えばダッシュボード埋込みの車載カーナビ(略して車載ナビ)一択でしたが、今ではスマートフォン+カーナビアプリ(略してスマホナビ)が台頭してきて、スマホナビ全盛期を迎えつつあります。このあたりの変遷を俯瞰しつつ、CarPlayの実際を見てみたいと思います。

 

なぜスマホナビ・ユーザが増えてきたのか

それはもう間違いなく、次の3つに集約されるのではないでしょうか。

  1. 1. スマホが普及してほぼドライバ=スマホ・ユーザの時代になった
  2. 2. スマホナビ・アプリが車載ナビ比較で非常に安価なこと
  3. 3. スマホナビは常に最新地図なのに、車載ナビは地図更新が遅い、更新費が高価だったり

スマホが普及してほぼドライバ=スマホ・ユーザの時代になった

ユーザ・エクスペリエンス(User eXperience略してUX)を追求してきたスマホに比べると、車載ナビの使い心地はUXがまるでガラケーみたいな感じがしませんか。
個人的経験の範囲ですが、フリック日本語入力やスワイプ操作を、スマホ感覚のまま操作できる車載ナビには出会ったことがありません。毎日スマホを使っていて、その感覚でナビを触った途端に途方に暮れる、という表現でおわかりいただけるのではないかと思います。

スマホナビ・アプリが車載ナビ比較で非常に安価なこと

これは、ユーザにとってもメーカにとっても凄く大きな問題です。
車載ナビは、アフターマーケットには数万円のものもありますが、新車時にセットで購入するとなると10万円台から30万円台というところでしょうか。
スマホユーザは自前のハードウェアを使うのですから、かかる費用はナビアプリ代とナビアプリが使うパケット代です。代表的ナビアプリであるGoogleマップに例を取ると、AndroidでもiPhoneでも初期費用も利用料も無料。パケット代はよほどヘビーな使い方をしない限り、定額パケット利用契約の月間数Gバイト内で収まってしまうので事実上無料。つまり、Googleマップに限れば使用料は0円、有料ナビアプリもありますが、年間1万円に届くナビアプリはないと思います。

スマホナビは常に最新地図なのに、車載ナビは地図更新が遅い、更新費が高価だったり

個人的にこれが一番大きい問題と感じています。
スマホナビは、ネット上のサーバから地図情報をダウンロードしながら動作するので、地図情報がサーバ側で更新されればすぐにスマホナビに反映して、いつも最新地図データです。
一般的な車載ナビは、データ更新は新車時から3年程度は無償データ更新、その後は7年位まで有償データ購入、コストも年次更新DVDは1万円以上のお値段。中には、オンライン無償対応とあって喜べば、Windows-PC必須とか。MACしか持っていない人はどうしろと・・・悲しい個人的経験です。
2020年のオリンピックに向けて、首都圏は新しい道路の開通が続いています。眼の前に道路があって、その道路を表示してくれない車載ナビ。そのときポケット/バッグにはスマホが、そうだスマホでナビだ。こうしてスマホナビへの移行が加速しているように感じます。

ここまで書いてきて、このところ話題のトヨタのコネクティッドサービスはどうなのよと調べてみたら、トヨタ T-Connectナビ、スマホ並みにオンデマンド更新があるようです。実際に使ったことがないので本当のところはわかりませんが、カタログ上は良いみたい。しかも、最長5年間無料で利用できるとなっています。
でも、トヨタの新型車という限定でしょうから、それが残念です。

車載ナビがスマホナビを踏み台にして盛り返すには

素人目線で、どうしたら盛り返せるか・・・次のあたりでしょうか。

  1. 1. UXの改良と精度の高い正確なナビ提供
  2. 2. 付加価値込みでスマホナビと費用勝負
  3. 3. 地図データ更新の常時対応と簡便化

UXの改良と精度の高い正確なナビ提供

まず、UXはぜひ改良していただきたいと思いますが、精度については今でも車載ナビの方が勝っていることは確かでしょう。
車載ナビとスマホナビとの比較記事によくあるパターンは、まずスマホナビを取り上げて精度も高くなったし使いやすくなったといったん締めて、同時に使った車載ナビではアレコレアレコレ、やっぱり車載ナビはさすがです、と終わる。
アレコレとは、スマホ内のGPSにだけ頼るのと違い、車載ナビではGPSに加えて、車両からジャイロと車速パルスがデータが使えるので、トンネル内でもナビができたり、2階建ての道路で上の走る高速道路と、下を走る側道の区別がつかない等々、確かに。

それでも、個人的にスマホナビで十分間に合ってます、と感じるのは鈍いのかな?
もしかしたら、以前のGPS測位は一般的に誤差が数mあったのに、日本が自前構築した衛星測位システム「みちびき(準天頂衛星システム)」のおかげで誤差が数cmにまで上がった恩恵を受けているからかもしれません。

付加価値込みでスマホナビと費用勝負

これは、車載ナビのメーカ各社が、社内で散々検討してきたことに違いないと思います。スマホナビが苦手なことを前面に押し出して、ついでにスマホも取り込んでしまおうという作戦しか思いつきません。

スマホの画面は小さいので、運転中のパッと見で情報がつかみにくく、ちょっとしたことでも停車して細かい操作が必要なケースが多い、でしょう。
ただ、最大の問題は、車載ナビ・メーカはナビソフト+ハードウェアの価値で価格を決めるというご商売を長らくしてきているので、価格の値下げになることは必至。できれば避けたい路線でしょう。

それでも、なんとかこの路線で生き残りの道が開ければ、という心境なことでしょう。

地図データ更新の常時対応と簡便化

最新の地図データをタイムリーにごく低価格で提供しない限り、車載ナビからスマホナビへの流れは、加速することはあっても止めることはできないと、個人的に思います。
地図データ更新でよくある、SDカードをナビから外して、自宅ネット+PC環境へ持っていってアップデートする方式だけでなく、スマホを接続したままスマホ回線で、車載ナビ自身が常時アップデートしていくという仕組みの導入ができると良いな、と思うのです。

これが実現すれば、個人的に他のことは少し大目に見てもいいと思うのですが、どうでしょう?

素人目線で考えて、車載ナビ・メーカがAndroid-TVのようにスマホOSベースの車載ナビ機を作り、ナビはスマホOS上で動作するナビ・アプリとして実現するというのはどうでしょう。

そんなことで「Androidベース カーナビ」と調べてみたら、もうすでにあるんですね、知りませんでした、不勉強を恥じるばかりです。

スマホナビの全盛期は自動運転への過渡期

スマホナビは全盛期を迎えつつありますが、実は自動運転への過渡期としての興隆期だと思います。

ナビは自動運転の中枢機能の中に

まさに昨日(10月4日)、ソフトバンクとトヨタが「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」という合弁会社を共同で設立するという発表があったように、またApple自体が自動運転の試験を繰り返しているというニュースも散見されるように、自動運転には車自体が地図を持つことが必須条件に決まっています。

ナビ機能自体が、もう今のような車載ナビとかスマホナビとか、車に後付けするものではなくなって、車の中枢機能の中心になることは間違いでしょう。

過渡期ならではの新種も

スマホナビの興隆と、自動運転への道筋がはっきり見えてしまったこの時期に、車載ナビ・メーカから面白いモノも出てきています。
例えば、上記のAndroidベースのカーナビもその一形態ですが、「ディスプレイ・オーディオ」という車載デバイスも出てきました。
ググっていただければおわかりいただけると思いますが、簡単に言えば、車載カーナビからナビ機能を削除してディスプレイ機能+カー・オーディオ機能に特化したモノです。

じゃあ、ナビ機能はどうするのかといえば、スマホを接続してスマホナビ機能(iPhoneならばCarPlay、AndroidならばAndroid Auto)を車載機の画面やスピーカなどでご利用ください、というわけです。

車載ナビ・メーカとしては、行き着くところまで行ってしまったのか、という非常に割り切ったシステムです。

ノウハウ満載の車載ナビメーカ謹製アプリで反撃は

当然ながら、従来までの車載ナビに比べて安価な価格での提供になっているようで、メーカとしての辛い気持ちがヒシヒシと伝わってきます。

ここまで来たならば、個人的にはぜひ車載ナビ・メーカが、今日まで培ってきたカーナビソフトのノウハウを結集したCarPlay対応ナビアプリ、Android Auto対応ナビアプリを、ナビ機から切り離して一般市場に投入して、しっかりモトを取ることを狙っては、と思うのですが。個人の素人目線でスイマセン。

車ナビゲーション、個人的なトライアル

カーナビについて、大上段に振りかぶって色々と勝手なことを書いてきましたが、弊社は車メーカでも車載ナビメーカでもないので、ここからはこのような過渡期の中でカーナビに遊ばれる一個人ユーザ視点、ということでご覧ください。

車載ナビを新調してみた

車載ナビをCarPlay/Android Auto対応のHDMI入力コネクタ装備のメーカ純正(某車載ナビ・メーカのOEM品)に新調しました。かなりのお値段のモノですが使ってみると、ちょっとこのルート選びはどうなのよ、という感じでガックシ。
やむなく、ダッシュボード周りにスマホを固定するキャリアを使ってスマホナビを併用し、スマホナビ指示通りに走って車載ナビにルート選択を教育しながら走っています。

しかし、これでは高いカーナビを買ったのにナンダカなぁという気分になってきたので、Google Autoに挑戦してみました。

Google Android Autoに挑戦

USBケーブルでAndroidと車載ナビを接続してAndroid Autoアプリを起動。最初だけ軽く初期設定(詳しくはググってみてください)をすると、カーナビ画面がAndroid Autoに成り代わり、Googleマップのカーナビモードが使えるようになります。目的地設定からアレコレ全部が、ナビ画面で操作できるようになります。
しかし、Googleマップのナビはルート選択の最適化の度が過ぎていて、個人的には裏道探しには使えるものの、普段のメイン使いには辛いと感じます。
度が過ぎる最適化とは、例を挙げるならば、住宅密集地を抜ける車幅いっぱいの生活道路とか、田畑の間の車幅ぎりぎりの未舗装路とか、はては車幅上は通過可能な踏切、ただし踏切入り口真ん中に枕木が立っていて車両通行不能な道を通ろうとしたり、選択して欲しくないルートに面食らうことが多い、ということです。
これは、もしかすると日本の道路環境ならではのチューニングの問題であって、本国アメリカや諸外国では起きない問題なのかもしれません。

もし、万一にもGoogleマップ関係者がご覧になったら、悪口だと忌避せずにチューニングを調整することを考えていただければと、切に思います。
なお、これはAndroid Auto固有の問題ではなく、AndroidでもiPhoneでもGoogleマップでも起きているナビ・ルート選択の問題です。

Googleマップのルート選択チューニングは辛い。

仕方がないので、次はCarPlayに挑戦です。

Apple CarPlayにも挑戦

USBケーブルでiPhoneと車載ナビを接続。やはり最初だけ軽い初期設定(詳しくはググってみてください)すると、カーナビ画面がCarPlay画面に成り代わります。
Android Autoと違って、Apple純正マップのナビだけでなくCarPlay対応のアプリが使えるようになります。問題はCarPlay対応のアプリがすごく少ないこと。

巷では、Apple純正マップのナビも結構使えるというタッチの記事も見かけますが、個人的には正直ちょっとご遠慮申し上げたい、ゴメンナサイです。

9月18日(日本時間)、CarPlayを他社カーナビアプリに開放というアップデートを含んだiOS12が正式登場しました。ほどなくして「Googleマップ」が対応、その後「カーナビタイム」、「Waze」と、続々対応アプリが出てきています。

次の画面例は、車載ナビそのもので弊社を目指す画面、

(車載ナビ画面)

次が、同じ画面にCarPlayでGoogleマップで弊社を目指すナビ画面です。

(CarPlayのGoogleマップ・ナビ画面)

どちらも画面に向かってタッチ&スワイプ操作ができ、一見するとどちらがどちらでも特に違和感がありませんが、すでに述べたようにGoogleマップは、AndroidでもiPhoneでもルート選択チューニングが辛いし、Apple純正マップのナビは遠慮中ということで、現在お蔵入り中。
仕方なく、次にHDMI入力を使えないか。
ジタバタしてみました。

HDMI入力の活用に挑戦

ここまで、妥協できるナビはありませんが、現実問題としてナビなしというわけにはいきません。
実は、以前からスマホナビ「Yahoo!カーナビ」を、スマホキャリアに設置したスマホで利用しています。この「Yahoo!カーナビ」をHDMI入力を使って車載ナビ画面にミラーリングすれば使えるのでは、と思ったのです。

今どきのAndroidのミラーリングは簡単です。スマホのUSB-CからHDMIへ変換ケーブルを使って接続すれば、スマホ画面がそのまま車載ナビ画面にミラーリングして出てくれます。

iPhoneはApple TVを車に持ち込んでミラーリング、バッチリです。ただし、この場合にはWiFiルータが必要になるので、スマホのテザリングで対応しました。

こうして、できることはできたのですが、AndroidとiPhoneで別々の接続方式はいちいち手間掛かりです。ここは、もう一歩踏み込んで、手間を省く方法を探してみたところ、ありました。便利なものはちゃんとあるんですね。MiraScreenというブランドに探していた機能のものがありました。

(3つ又ケーブル mirascreenサイトより)

3つ又ケーブル・タイプで、片方がHDMI、他方がマイクロUSB/USB-C/Lightningコネクタ、最後が電源供給用のUSB-Aオスになっています。USB-Aを車載のUSB電源コネクタに挿して、残りを車載側HDMIとスマホに接続すればできあがり。
これをマニュアル通りに繋げば、スマホ画面が車載ナビ画面にミラーリング表示されるので、普通にスマホを操作してお気に入りのナビアプリを使えばOK、便利です。ただ欠点も、スマホに充電してくれない、長時間のドライブには辛いです。

もう少し考えてみました。AndroidからもiPhoneからもApple-TVのようにWiFiミラーリングできてモバイルWiFiルータなしで動作するモノがないのかと。これもMirascreenにありました。

(WiFiミラーリング・デバイス mirascreenサイトより)

外観はChromeCastに似ていますが、AndroidだけでなくiPhoneからも画面ミラーリングできるという代物。しかもAndroidからもiPhoneからもWiFiルータなしで直接画面ミラーリングできる、と探していた機能にピッタリです。

(mirascreen 起動画面、右側iOS/左側Android&Windows選択画面)

こうして、このWiFiミラーリングを使ってスマホナビ。写真例にあるように一見すると車載ナビを使っているような感じ、操作はスマホなのが残念なところですが、圧倒的に見やすいので現在はここで落ち着いています。

(yahoo!カーナビ on 車載ナビHDMI入力画面)

あとは、使いやすいCarPlay対応スマホナビの登場待ちです。
Yahoo!カーナビの関係者の方、ご覧になっていたらCarPlay対応をお待ち申し上げていますので、よろしくです。

おまけ:スマホキャリア

スマホを車に持ち込むと置くところがなくて困りませんか。なぜ、車メーカはこんな簡単なことを考えてくれないのか、とても不思議です。

最後に、そんな不満を解消した個人的経験からオススメを一つ。

夏場のダッシュボード上は直射日光で凄まじい暑さになり、ダッシュボード上に設置する類のスマホキャリアでは、スマホ本体が熱くなってナビどころではなくなってしまいます。

スマホキャリアを調達するのであれば、車のエアコンで冷却しながら利用できるエアコン吹出口に設置するタイプのキャリアが個人的にオススメです。

個人的な「帯に短しタスキに長し」カーナビ過渡期概論をお送りしましたが、実は弊社、車載カーナビ向けにアプリ提供実績もあったりします。

そんなことで、アプリ全般の企画・開発に関して、なんなりと弊社までお声かけください。ご相談にのらせていただきます。

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